• 和声法

書籍 理論・専門書

ピストン/デヴォート

和声法

分析と実習

ピストン 著/デヴォート 増補改訂/角倉一朗

定価
15,400円 (本体14,000円+税)
判型・頁数
B5・592頁
発行年月
2006年6月
ISBNコード
9784276103214
商品コード
103210

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内容紹介

1941年の初版以来、48年、62年、78年、そして最新の1987年の第5版まで改訂増補されつつ版を重ね、アメリカの音楽大学や総合大学の音楽学部でもっとも広く使用されている和声法教本の全訳。最大の特徴は、和声法の理論と実習と分析が一体化していることで、一定の規則を示すだけでなく、つねに実作品の譜例を参照しつつ、規則や定型を現実の音楽から抽出しているため、大学などのテキストとしてはもちろん、独習にも最適の内容である。また和声にかぎらず、リズム・旋律・構造についても論じており、18世紀~20世紀初頭(バッハからヴェーベルンまで)の西洋音楽のしくみを総合的に理解することができる(つまり、理論だけでなく、音楽史を学ぶことができる)。記述はきわめて簡潔明快で、各章末の実習課題も、通例のバス課題と旋律課題にとどまらず、さまざまな工夫がこらされている。

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目次

日本語版の序文
第5版へのまえがき
第1版(1941)への序文
日本語版の凡例

第Ⅰ部
慣用期の調的和声法

1.音楽の素材:音階と音程
音階で測る音程 / 音階の音度 / 音程の分類 / 複音程 /音程の転回 / 異名同音の音程 / 実習課題

2.3和音
和音構成音 / 音階音度上の3和音 / 3和音の種類 / 転回形 / 協和音程と不協和音程 / 長旋法の3和音 
/ 4声書法 / 構成音の重複 / 導音上の3和音 / 声部の配置 / 密集位置と開離位置 / 記譜法 / 実習課題

3.長旋法における和声進行:声部進行の原則
通常の根音進行一覧 / 和音の連結:2つの原則 / 実習の改善:通則を越えて /旋律の順次進行と跳躍進行 / 動きの規則 / 並達8度と並達5度 / 導音の処理 / 声部の重なりと交差 / 4声部の並行 / 進行規則の要約 / 実習課題の実施要領 / 実習課題

4.短旋法
音階の違い / 短旋法による3和音 / 和声進行 / 声部進行 / 実習課題

5.調性と旋法性
旋法音階 / 音階音度の調的機能 / ドミナント和声 / 和音の調的な強さ / 旋法の互換性 / ピカルディ3度 
/ 平行長調と平行短調の関係:2次ドミナントの原理 / 半音階法と調性 / 和音構成音の分散 / 実習課題

6.第1転回形――数字つき低音
アラビア数字の記法 / 構成音の重複 / 第1転回形の一般的効果 / 声部進行 / 第1転回形3和音の連続 
/ さまざまな3和音の用例 / 鍵盤和声と数字つき低音 / 実習課題

7.旋律の機能と構造
旋律の用例 / 旋律の形状 / 動機 / フレーズ / 旋律の中の和声――多声的な旋律 / 旋律の変奏 
/ 旋律分析への手引き / 実習課題

8.非和声音
旋律的不協和音 / 経過音 / 隣音 / 先取音 / 倚音 / 掛留音 / 逸音と転過音 / 連続する非和声音 / 保続音 / 実習課題での使用 / 実習課題

9.旋律の和声づけ
旋律の分析 / 旋律の跳躍 / 保留音 / 使える和音 / 和音の選択 / 対位的な方法:旋律とバス / 定型の使用 
/ 和声づけと非和声音 / 実習課題

10.4-6の和音
終止の4-6和音 / 補助的な4-6和音 / 経過的な4-6和音 / 分散型の4-6和音と他の諸形体 / 実習課題

11.終止定型
正格終止 / 完全終止と不完全終止 / 半終止 / 変格終止 / 下拍終止と上拍終止 / 偽終止 / フリギア終止 
/ 例外的な終止形 / 実習課題

12.和声リズム
音楽のリズム・テクスチャー / 和声リズムと旋律リズム / 根音変化の頻度 / 和声進行の強さ / 強弱の指示 
/ 非和声和音 / 実習課題

13.フレーズの和声構造
統一性と多様性 / フレーズの小節数 / フレーズの始まり / フレーズの連結/ ゼクエンツ 
/ フレーズと楽節:前楽節と後楽節 / 小曲の形式 / 小曲の分析 / 応用 / 実習課題

14.転調
調を変える心理的必要性 / 基本的な関係:3つの段階 / 転調するフレーズの実例/ 調性のレヴェル:トニック化と中継的転調 / 転調の連鎖 / 関係調 / 旋法の交換 / 手段の探求 / 異名同音的変換 / 唐突な転調 / 軸音 / 実習課題

15.属7の和音
和声的不協和音の起源 / 正規の解決 / 第1転回形 / 第2転回形 / 第3転回形 / 実習課題

16.2次ドミナント
2次ドミナント機能の重要性と定義 / 解決 / 2次ドミナントの使用 / 対斜 / ⅡのⅤ / ⅢのⅤ / ⅣのⅤ / ⅤのⅤ 
/ ⅥのⅤ / ⅦのⅤ / 実習課題

17.変則的な解決
変則性の定義 / 変則的な解決の多様性 / 2次ドミナントの変則的な解決 / 実習課題

18.音楽のテクスチャー
声楽と器楽のテクスチャー / ホモフォニック・テクスチャーの実例 / アンサンブルのテクスチャー / オーケストラ 
/ テクスチャーの還元 / 実習課題

19.和声分析の諸問題
分析の目的 / 2次ドミナント原理の拡張:2重機能をもつ和音 / 声部進行の規則:例外的な状況 / スコア・リーディング 
/ 分析の試み

20.ゼクエンツ
反復パターン / 和声リズム / ゼクエンツの長さ / 移高の度数 / 非転調型ゼクエンツ / ゼクエンツにおける2次ドミナント / 転調型ゼクエンツ / ゼクエンツの和声づけ / 鍵盤による練習 / 実習課題

21.減7の和音
定義 / 異名同音の和音 / 解決 / 転回形 / 2次ドミナント / 変則的な解決 / 減7和音の連用 
/ 減7の和音を使った転調 / 実習課題

22.不完全系の長9和音
半減7の和音 / 転回形 / 変則的な解決 / 2次ドミナント / 転調 / 実習課題

23.非ドミナント和声――7の和音
不協和な非ドミナント型和音の機能 / 7の和音の比較構造 / 非和声的な要素
解決 / Ⅰ上の7の和音 / Ⅱ上の7の和音 / Ⅲ上の7の和音 / Ⅳ上の7の和音 / Ⅵ上の7の和音 / 導音上の7の和音 / ゼクエンツにおける非ドミナント型7の和音 / 転調 / 隣音和声:付加6度をもつ3和音 / 半減7の和音 / 実習課題

24.9、11、13の和音
完全系の属9和音 / 音の配置 / 転回形 / 2次ドミナント / 転調 / 非ドミナント型9の和音 / 解決の遅れた倚音 
/ 解決されない倚音 / 11の和音と13の和音 / 実習課題

25.半音階的な変位和音:上方変位のⅡとⅥ
根音と第3音が上方変位されたⅡ⁷とⅥ⁷ / 記譜法 / リズム / 対斜 / 旋法 / 変則的な解決 / 転調 / 実習課題

26.ナポリ6の和音
定義、解決、予備、重複 / 2次的な関係 / ナポリ和音のⅤ / 中継的転調 /ナポリの和音による転調 / 実習課題

27.増6の諸和音
2次ドミナントとしての由来 / 定義 / 解決 / 転回形 / 変則的な解決  転調 / 例外的な形体 / 実習課題

28.他の半音階的和音
変位された音階音度の異名同音的制約 / 増5の和音 / 減5の和音 / 第5音の上下変位 / 倚和音 / 特徴的な半音階法 / 実習課題


第Ⅱ部
慣用期以後

29.和声法の歴史的考察

30.慣用的和声法の拡張
旋法音階と旋法的和声 / ドミナント和声の衰退 / 遠隔な調関係 / 対位法の再評価 / 独立した垂直の動き 
/ 調性の新しい規定

31.音階と和音のタイプ
5音音階 / 全音音階 / 人為的な音階 / 平行和声と反平行和声 / 3度和声4度和声 / 5度和声 / 2度和声 
/ 汎全音階法 / 多重和音と多調性 / 旋法の混合 / 転回された9の和音 / 倚和音

32.拡張された半音階法
調性を支える要素と調性を弱める要素

あとがき

付録Ⅰ:音階の音響学的基礎:倍音列と平均律 / 倍音、音程比、平均律 / 困難な問題
付録Ⅱ:バッハのコラール和声にもとづく特別な実習課題

訳者あとがき

譜例索引
事項・人名索引