内容紹介
本書は日本を代表する作曲家・武満徹の生涯と作品を簡便にまとめた初の単行本。「簡便に」とはいっても、一人の作曲家に250~260ページを費やしたものであり、専門的に研究する人は別として、一般の音楽ファンにとって必要にして十分な内容といえよう。本書では、作品を時代順にとりあげ、時代背景、作曲にいたる経緯・きっかけ、目指した意図、そして作品分析などを丁寧に解説しながら生涯をたどっている。これまで個々の作品に親しんできた読者、そしてこれから武満徹を知りたい読者にとって、明解に全体像をとらえることのできる便利で、しかも内容の充実した本といえよう。著者は武満研究の中堅学者のホープであり、信頼性の高さも抜群である。
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目次
■生涯篇■
1.音を探る―1940年代~1950年代半ば
◎ピアノの実験―《2つのレント》(1950)以前師事した頃の清瀬保二/清瀬に献呈した《ロマンス》/ピアノを探る/《二つのレント》の自信/聴衆の反応/筝の記憶/《聞かせてよ、愛の言葉を》に武満が聴いたもの/指針となった作曲家たち/
◎ピアノ以外の楽器の壁
初めてのヴァイオリンとピアノ―《妖精の距離》/「新作曲派協会」から「実験工房へ」/一挙に多ジャンルへ
◎テープ音楽と器楽の連続性
―《ルリエフ・スタティック》(1955)から《弦楽のためのレクイエム》(1957)へ
音楽における「具体」と美術における「具体」/水を得た魚―ミュジック・コンクレート作品と劇音楽/劇音楽から《十三管楽器のための室内協奏曲》へ/声を探る/フルートを探る/映画音楽と「うた」/劇音楽から《弦楽のためのレクイエム》へ
2.日本の前衛運動との交差―1950年代後半~1960年代半ば
◎ミュジック・コンクレートから器楽アンサンブルへ
鋭敏な楽器法―《黒い絵画》/アンサンブルを探る/「二十世紀音楽研究所」と武満/武満にとってのチェロ/音色の実験からピアノへ
◎現実音から邦楽器へ―《水の曲》(1960)から《怪談》(1964)へ
水滴の変容と最小の音―《水の曲》と《ランドスケープ》/武満のジャズ論/ギターとの出会い/合奏における楽器の解放/響きの「うた」―《風の馬》/最初の邦楽器―『日本の文様』/映画とミュジック・コンクレート/オーケストラと邦楽器を探る
3.到達点と出発点としての《ノヴェンバー・ステップス》(1967)
◎トーン・クラスターと邦楽器の隣接―《ノヴェンバー・ステップス》への道
邦楽器とオーケストラの組み合わせ/「オーケストラル・スペース」の企画者として/映画から離れた邦楽器―《エクリプス》
◎《ノヴェンバー・ステップス》におけるドビュッシーとの距離
潜在する邦楽器―《地平線のドーリア》/艶を得た弦楽器―《悲歌》/ニューヨーク・フィルからの委嘱/《ノヴェンバー・ステップス》と《グリーン》
◎《ノヴェンバー・ステップス》の行方
《ノヴェンバー・ステップス》を投影して―《アステリズム》/太棹三味線とガムラン―『心中天網島』/独奏楽器群とオーケストラの一元性―《クロッシング》
4.ソリストをとおして楽器を開拓―1970年代
◎新しい独奏楽器
打楽器を探る―《四季》/海外での評価/ソリストたちとの出会い/作品的亜種―《ユーカリプス》
◎『今日の音楽』始まる
ふたたびピアノへ―《フォー・アウェイ》/ふたたび邦楽器とオーケストラ―《秋》/プロデューサーとしての現代音楽観/雨のテーマ/遍在する響きと循環する水―《マージナリア》
5.水の変容、流れに向けて―1970年代後半~1980年代半ば
◎新しい音の選び
中心音との新しい関係―《鳥は星形の庭に降りる》/器楽による「うた」/水から流れに/楽器の個性の協奏―創作雅楽
◎海モチーフの多義性
独奏楽器の変化―《遠い呼び声の彼方へ!》/海モチーフの両義性/水の両義性―雨と海
◎響きから音へ
声を立てる雨―《雨ぞふる》/音の粒の集積/一音ごとのアンサンブル/武満のチェロの音/意志的に動く音
6.急がない音の旅―1980年代後半~1990年代
◎遠いものと相似のはざまで
相似と異質のあいだ―《ジェモー》/音色のハーモニー―《ウォーター・ドリーミング》/祈りのテクスチュア―《ノスタルジア》
◎穏やかさの強靭さ
抑制された響きの深遠―《トゥイル・バイ・トワイライト》/祈りの記憶/隠された音/抑制と幻想/遍在する歌/《二つのレント》の記憶―《ハウ・スロー・ザ・ウィンド》/見えない風
◎旋律を求めて
武満の旋律論/歌の中の一音性/変容する歌/個としての歌/歌を探す―《森の中で》《エア》
■作品篇■
ピアノ作品/オーケストラ作品/楽器・アンサンブル作品/声のための作品/映画・劇音楽/あとがき
■資料篇■
武満徹作品表年表・年譜/武満徹に関する文献抄
索引
1.音を探る―1940年代~1950年代半ば
◎ピアノの実験―《2つのレント》(1950)以前師事した頃の清瀬保二/清瀬に献呈した《ロマンス》/ピアノを探る/《二つのレント》の自信/聴衆の反応/筝の記憶/《聞かせてよ、愛の言葉を》に武満が聴いたもの/指針となった作曲家たち/
◎ピアノ以外の楽器の壁
初めてのヴァイオリンとピアノ―《妖精の距離》/「新作曲派協会」から「実験工房へ」/一挙に多ジャンルへ
◎テープ音楽と器楽の連続性
―《ルリエフ・スタティック》(1955)から《弦楽のためのレクイエム》(1957)へ
音楽における「具体」と美術における「具体」/水を得た魚―ミュジック・コンクレート作品と劇音楽/劇音楽から《十三管楽器のための室内協奏曲》へ/声を探る/フルートを探る/映画音楽と「うた」/劇音楽から《弦楽のためのレクイエム》へ
2.日本の前衛運動との交差―1950年代後半~1960年代半ば
◎ミュジック・コンクレートから器楽アンサンブルへ
鋭敏な楽器法―《黒い絵画》/アンサンブルを探る/「二十世紀音楽研究所」と武満/武満にとってのチェロ/音色の実験からピアノへ
◎現実音から邦楽器へ―《水の曲》(1960)から《怪談》(1964)へ
水滴の変容と最小の音―《水の曲》と《ランドスケープ》/武満のジャズ論/ギターとの出会い/合奏における楽器の解放/響きの「うた」―《風の馬》/最初の邦楽器―『日本の文様』/映画とミュジック・コンクレート/オーケストラと邦楽器を探る
3.到達点と出発点としての《ノヴェンバー・ステップス》(1967)
◎トーン・クラスターと邦楽器の隣接―《ノヴェンバー・ステップス》への道
邦楽器とオーケストラの組み合わせ/「オーケストラル・スペース」の企画者として/映画から離れた邦楽器―《エクリプス》
◎《ノヴェンバー・ステップス》におけるドビュッシーとの距離
潜在する邦楽器―《地平線のドーリア》/艶を得た弦楽器―《悲歌》/ニューヨーク・フィルからの委嘱/《ノヴェンバー・ステップス》と《グリーン》
◎《ノヴェンバー・ステップス》の行方
《ノヴェンバー・ステップス》を投影して―《アステリズム》/太棹三味線とガムラン―『心中天網島』/独奏楽器群とオーケストラの一元性―《クロッシング》
4.ソリストをとおして楽器を開拓―1970年代
◎新しい独奏楽器
打楽器を探る―《四季》/海外での評価/ソリストたちとの出会い/作品的亜種―《ユーカリプス》
◎『今日の音楽』始まる
ふたたびピアノへ―《フォー・アウェイ》/ふたたび邦楽器とオーケストラ―《秋》/プロデューサーとしての現代音楽観/雨のテーマ/遍在する響きと循環する水―《マージナリア》
5.水の変容、流れに向けて―1970年代後半~1980年代半ば
◎新しい音の選び
中心音との新しい関係―《鳥は星形の庭に降りる》/器楽による「うた」/水から流れに/楽器の個性の協奏―創作雅楽
◎海モチーフの多義性
独奏楽器の変化―《遠い呼び声の彼方へ!》/海モチーフの両義性/水の両義性―雨と海
◎響きから音へ
声を立てる雨―《雨ぞふる》/音の粒の集積/一音ごとのアンサンブル/武満のチェロの音/意志的に動く音
6.急がない音の旅―1980年代後半~1990年代
◎遠いものと相似のはざまで
相似と異質のあいだ―《ジェモー》/音色のハーモニー―《ウォーター・ドリーミング》/祈りのテクスチュア―《ノスタルジア》
◎穏やかさの強靭さ
抑制された響きの深遠―《トゥイル・バイ・トワイライト》/祈りの記憶/隠された音/抑制と幻想/遍在する歌/《二つのレント》の記憶―《ハウ・スロー・ザ・ウィンド》/見えない風
◎旋律を求めて
武満の旋律論/歌の中の一音性/変容する歌/個としての歌/歌を探す―《森の中で》《エア》
■作品篇■
ピアノ作品/オーケストラ作品/楽器・アンサンブル作品/声のための作品/映画・劇音楽/あとがき
■資料篇■
武満徹作品表年表・年譜/武満徹に関する文献抄
索引