内容紹介
高校生から研究者までを対象とした伝記シリーズの決定版。著者は、デビュー作『バラの騎士の夢』(1997春秋社)の後、数々のセンセーショナルな著書を生み出している気鋭の音楽学者、岡田暁生。
「19世紀ヨーロッパ市民の時代」の黄金期に生まれ、その最後の幕を引いた超人シュトラウス。世紀転換期の作曲家の中でも抜きんでた音楽技法を持ち、最晩年になってなお、比類のない作品を生み出した。このことは、シュトラウスの生きた「時代」においてどのような意味を持ったのか。当時の社会や音楽界の様相を絡めて描いた生涯篇では、《最後の四つの歌》の内面性など、著者独自の視点も読みどころのひとつ。作品篇では、シュトラウスの作曲技法が浮き彫りとなる緻密な楽曲分析を堪能できる。
「19世紀ヨーロッパ市民の時代」の黄金期に生まれ、その最後の幕を引いた超人シュトラウス。世紀転換期の作曲家の中でも抜きんでた音楽技法を持ち、最晩年になってなお、比類のない作品を生み出した。このことは、シュトラウスの生きた「時代」においてどのような意味を持ったのか。当時の社会や音楽界の様相を絡めて描いた生涯篇では、《最後の四つの歌》の内面性など、著者独自の視点も読みどころのひとつ。作品篇では、シュトラウスの作曲技法が浮き彫りとなる緻密な楽曲分析を堪能できる。
目次
■生涯篇■
「リヒャルト・シュトラウス 1864~1949」という意味
音楽史の1860年世代について/「帝国の時代」の作曲家/市民音楽の時代の幕を引いた人
市民にしてブルジョワ、そしてバイエルン人 ― シュトラウスの気質をめぐって
職人であり楽師であり芸術家―フランツ・シュトラウス/職人であり商人であり市民―ヨゼファ・プショール
幼少時代からさすらう若人の時代まで (1864~1884)
音楽環境―家庭/ロマン主義の時代の古典主義の街ミュンヘン/子ども時代のシュトラウス/旅立ちとビューローとの出会い/初恋、母の入院、指揮デビュー
若きカペルマイスターの修行時代 (1885~1894)
マイニンゲンでの日々/教育パパとの愉快な関係/イタリア紀行/ミュンヘンでの第三楽長時代/アレクサンダー・リッターとショーペンハウアー形而上学/広がっていく活動とパウリーネとの出会い/1889年―ワイマール時代の始まりと《ドン・ファン》/エジプトでの病気療養/バイロイトの呪縛/若き吟遊の騎士グントラムここに眠る
第二次ミュンヘン時代 (1894~1898)
ミュンヘンは耀いていた/生涯最大の屈辱/哄笑と力への意志/指揮者としてのシュトラウス/シュトラウスとモーツァルト・オペラ
疾風怒濤のベルリン時代 (1898~1904)
ベルリンでの生活/ある英雄の生涯/ミュンヘンへの復讐/巨大管弦楽の夢とマンモス・コンサート/著作権のための戦いか金の亡者か/ホームドラマ交響曲/パパはスター
《サロメ》から第一次世界大戦、そして《ヨゼフ伝説》 (1904~1914)
サロメ・シンドローム/《エレクトラ》と前衛オペラの極北/シュトラウスとシェーンベルク/《ばらの騎士》と一つの世界の終焉/《ナクソス島のアリアドネ》の余韻/老化の始まり?
時代からの転落 (1914~1918)
第一次世界大戦とシュトラウスの時代錯誤/ベッカーの《アルプス交響曲》批判/終戦の混乱/苦悩するシュトラウス/石になった皇帝
戦間期の停滞 (1919~1933)
ベルリンからウィーンへ/若い作曲家との関係/再びアメリカへ/マンネリ化する作曲/アラベラの青春
ナチス台頭 ― 楽天家の悲劇的晩年 (1933~1945)
帝国音楽院総裁/ツヴァイク事件/《カプリッチョ》の遺言/《メタモルフォーゼン》
戦後 (1945~1949)
私はこの世に忘れられ/音楽史上の意味はない作品/最後の歌 または ドーラの面影
■作品篇■
作曲技法
響き/和声法/終止カデンツ/無調/複調/フォルム/引用と歴史主義/作曲プロセス/自己評価
創作時期
初期作品とイミテーションの才覚/シュトラウスとメンデルスゾーン/《イタリアから》と世界苦の交響詩/官能の発見と《ドン・ファン》/第二次ミュンヘン時代の交響詩とリート/楽劇の時代/モーツァルトへ/停滞期のオペラ/新しい様式の模索とリート/1920年代の総決算―《アラベラ》/晩年様式と遊戯/晩年様式と諦念/《メタモルフォーゼン》の変容とオスティナート/《最後の四つの歌》の内面性
あとがき
■資料編■
リヒャルト・シュトラウス年譜/ジャンル別作品一覧/主要参考文献/人名索引
「リヒャルト・シュトラウス 1864~1949」という意味
音楽史の1860年世代について/「帝国の時代」の作曲家/市民音楽の時代の幕を引いた人
市民にしてブルジョワ、そしてバイエルン人 ― シュトラウスの気質をめぐって
職人であり楽師であり芸術家―フランツ・シュトラウス/職人であり商人であり市民―ヨゼファ・プショール
幼少時代からさすらう若人の時代まで (1864~1884)
音楽環境―家庭/ロマン主義の時代の古典主義の街ミュンヘン/子ども時代のシュトラウス/旅立ちとビューローとの出会い/初恋、母の入院、指揮デビュー
若きカペルマイスターの修行時代 (1885~1894)
マイニンゲンでの日々/教育パパとの愉快な関係/イタリア紀行/ミュンヘンでの第三楽長時代/アレクサンダー・リッターとショーペンハウアー形而上学/広がっていく活動とパウリーネとの出会い/1889年―ワイマール時代の始まりと《ドン・ファン》/エジプトでの病気療養/バイロイトの呪縛/若き吟遊の騎士グントラムここに眠る
第二次ミュンヘン時代 (1894~1898)
ミュンヘンは耀いていた/生涯最大の屈辱/哄笑と力への意志/指揮者としてのシュトラウス/シュトラウスとモーツァルト・オペラ
疾風怒濤のベルリン時代 (1898~1904)
ベルリンでの生活/ある英雄の生涯/ミュンヘンへの復讐/巨大管弦楽の夢とマンモス・コンサート/著作権のための戦いか金の亡者か/ホームドラマ交響曲/パパはスター
《サロメ》から第一次世界大戦、そして《ヨゼフ伝説》 (1904~1914)
サロメ・シンドローム/《エレクトラ》と前衛オペラの極北/シュトラウスとシェーンベルク/《ばらの騎士》と一つの世界の終焉/《ナクソス島のアリアドネ》の余韻/老化の始まり?
時代からの転落 (1914~1918)
第一次世界大戦とシュトラウスの時代錯誤/ベッカーの《アルプス交響曲》批判/終戦の混乱/苦悩するシュトラウス/石になった皇帝
戦間期の停滞 (1919~1933)
ベルリンからウィーンへ/若い作曲家との関係/再びアメリカへ/マンネリ化する作曲/アラベラの青春
ナチス台頭 ― 楽天家の悲劇的晩年 (1933~1945)
帝国音楽院総裁/ツヴァイク事件/《カプリッチョ》の遺言/《メタモルフォーゼン》
戦後 (1945~1949)
私はこの世に忘れられ/音楽史上の意味はない作品/最後の歌 または ドーラの面影
■作品篇■
作曲技法
響き/和声法/終止カデンツ/無調/複調/フォルム/引用と歴史主義/作曲プロセス/自己評価
創作時期
初期作品とイミテーションの才覚/シュトラウスとメンデルスゾーン/《イタリアから》と世界苦の交響詩/官能の発見と《ドン・ファン》/第二次ミュンヘン時代の交響詩とリート/楽劇の時代/モーツァルトへ/停滞期のオペラ/新しい様式の模索とリート/1920年代の総決算―《アラベラ》/晩年様式と遊戯/晩年様式と諦念/《メタモルフォーゼン》の変容とオスティナート/《最後の四つの歌》の内面性
あとがき
■資料編■
リヒャルト・シュトラウス年譜/ジャンル別作品一覧/主要参考文献/人名索引