雑誌 ムジカノーヴァ
ピアノを教える人、学ぶ人の雑誌
ムジカノーヴァ 2020年10月号
- 誌上レッスン バッハの舞曲をどう教える?
- 今月の1曲: ベートーヴェン《「悲愴」ソナタ》第2楽章
内容紹介
[特集]
誌上レッスン バッハの舞曲をどう教える?(杉浦日出夫)
◆番外編 バッハの息子たちの作品をどう教える?(杉浦日出夫)
バッハは心が震えるような美しい名曲の宝庫。生徒さんとともに、この美しさに感動しながら教えられたらすばらしいですね。しかし実際のレッスンでは、指導の根拠となる知識の裏付けも必要です。
そこでバッハ指導に定評のある杉浦日出夫先生に、バッハの中でも特に知りたい舞曲について、どのように教えておられるのかを会話形式で誌上レッスンしていただきました。また番外編として、バッハの息子たちの作品についても教えていただきました。基礎を踏まえた上で、しかしそれだけに縛られることなく音楽的な演奏をするための、貴重なアドバイスが詰まった保存版です。
[今月の1曲]
(2020年7月号~10月号選曲者:奈良井巳城)
ベートーヴェン《「悲愴」ソナタ》第2楽章
[今月の1曲 連動企画]
◆誌上講座① アナリーゼ(加藤真一郎)
物語を紡ぐ、記憶の糸
~ベートーヴェンのソナタでいちばん大切なこと~
《悲愴ソナタ》第2楽章は、第1楽章の様々な記憶が“サブリミナル効果”のように反映されることで、より深さや奥行きのある音楽になっています。そこで、まず第1楽章の冒頭から印象的な音響を取り上げ、それが第2楽章でどのように反映されているのかを考察しながら、曲の構成を詳しく解説していきます。
◆誌上講座② 演奏・指導法(白石光隆)
限られた音域・音数の中に込められたメッセージを美しく表現しよう
温かい響きと一度聴いたら忘れられない美しい旋律で、誰もが憧れる《悲愴ソナタ》の第2楽章。演奏する上で注意したいポイントや、c-moll作品におけるAs-Durの緩徐楽章の役割、“憧れ”を表現するモティーフなどについて、ほかの作曲家の作品も取り上げながら詳しく解説します。
◆今月の1曲 豆知識
今月の1曲にまつわる豆知識を、譜例を用いながら解説します。
[トピックス]
◆「聴く力」を育てるウィレムス・メソッド(若林一惠)
よい演奏家、よい聴き手になるためには、よい耳を育てることが大切です。よい耳をもつ音楽愛好家が増えれば未来の音楽文化が豊かなものになるはずで、ここでピアノ指導者が大きな役割を果たします。どうすれば意識的に耳を使い、よい耳を育てることができるのでしょうか?一つの方法として、20世紀の音楽教育家エドガー・ウィレムスのメソッドをご紹介します。日本ではまだほとんど知られていないその教育思想やメソッドの概要を、ウィレムスの研究で博士号を取得した若林一惠さんに、10月号・11月号の2回にわたって解説していただきます。今回のテーマは「音楽教育家ウィレムスの生涯とその思想」。
◆Report 第44回ピティナ・ピアノコンペティション 特級ファイナル(小倉多美子)
多くの部門が中止または延期され、大幅な変更での開催となった今年のピティナ・ピアノコンペティション。その特級ファイナルの模様を、詳しくレポートします。
[連載]
◆森田香先生のオンラインで使える教材シリーズ(森田 香)
森田香先生が監修した付録を、オンラインレッスンでも使えるように再構成しました。今回は「音程あそび 応用編」です。
◆角野隼斗の 令和の音楽ライフ(角野隼斗)
これまでの「ピアニスト」のイメージに留まらない角野隼斗さんが、様々な音楽活動をする中で、日々考えていることや感じたことなどを綴っていただきます。
今回は「自分の言葉で表現するということ」。
◆ピアノテーマパーク~バロックから近現代のやさしい名曲の背景をたどる~(江口文子)
「つながる音切れる音」「両手の対話」「リズムと踊り」「色と形と構成」の4つのテーマごとに、4期の名曲を集めた楽譜『4期のピアノテーマパーク』(江口文子先生監修)と連動した連載です。「自由な気持ちが音楽のはじまり」「心に浮かんだイメージを大切に育ててほしい」という、江口先生の思いが詰まったページです。創作漫画ユニット・留守keyさんによる、4期の特徴が分かるイラストも魅力。
第6回は、「モーツァルトのアレグロ」です。
◆生徒を変身させる 24のキーワード(根津栄子)
「こどものスケール・アルペジオ」の著者としても知られる根津栄子先生に、テクニック・表現・ステージマナーの3分野にわたり、生徒を無理なく上達させるコツを分かりやすいキーワードの形でご紹介いただきます。今月のキーワードは、「8.指手首」。
◆初級のピアノテクニック きほんのき(松本倫子)
これまでの導入期のテクニック指導から一歩進んで、初級の子どもたちに指のテクニックをどう教えるかを詳しくお伝えしていく連載。今月のテーマは、「ハノン~世界に通用する指づくり、音づくり」。
◆根源的なテーマから学びを深める 樹原涼子の誌上マスタークラス(樹原涼子)
『ピアノランド』シリーズの著者がこれまでの研究で発見したこと、伝えたいと思うテーマを一つずつ丁寧に掘り下げる講座「樹原涼子のマスタークラス」と連動した連載。根源的なテーマから、今一度音楽との向き合い方を深く考えていきます。第3回は「指先のタッチポイントについて深く考える」です。
◆教えながら学ぶ アナリーゼ入門(西尾 洋)
楽譜が読め、旋律が歌え、鍵盤が理解できるのと同じくらいに、弾いている作品の「その作品らしさ」に迫る方法を生徒が身に付けられたら、音楽はきっと一生の心の友になるでしょう。「教えながら学ぶ」ことをコンセプトとして、やさしい曲や人気のある曲を中心に、自力で作品に近づく方法を懇切丁寧に紐解いていきます。
第3回は、「メンデルスゾーン――楽譜が無言とはいわせない」です。
◆ポピュラー音楽指導塾~リズム力をつけよう!~(佐土原知子)
34年ほど前からポピュラー曲を積極的にレッスンに取り入れてきた著者が、明日のレッスンに使える様々な手法や情報をご紹介する連載。ポピュラーを4つのリズム区分に分け、ジャンル別に「演奏と指導のポイント」をお伝えしていきます。
今回は「ジャズ系⑥ブルース&ブギウギ」。オンラインレッスンなどでも活用できるよう、リズム音源のQRコード付きでお届けします!
◆6つのポイントで究める『ブルクミュラー25の練習曲』曲のしくみと演奏法(佐々木邦雄)
指導力に定評のある佐々木邦雄先生が、『ブルクミュラー25の練習曲』を全曲解説。曲のしくみと、ピアノの演奏法の両面から重要なポイントを語ります。今回は《ちょっぴり不満》《おしゃべり娘》です。
◆なんでピアノを弾くと疲れるの?左手のピアニストが見る 正しい奏法(智内威雄)
左手のピアニストの智内威雄さんが、奏法の問題解決の研究者、プライベートや音大でレッスン・奏法を教える指導者、また演奏家としての視点から、「演奏」について実践的なアドバイスを綴ります。
今回のテーマは「脱力演奏の第3段階~よく起きる3つの問題」。
◆ピアノをめぐる情景(青澤隆明)
音楽評論家として活躍する著者が、『ムジカノーヴァ』読者に向けて厳選したディスク、ピアニスト、コンサート等について綴ります。読後はピアノについてもっともっと知りたくなるエッセイです。
◆【新連載】生徒と一緒に謎解きしよう バッハ《インヴェンション》が楽しくなるレッスン(福田ひかり)
バッハの《インヴェンション》を実際のレッスンでどのように指導したらよいのか、悩まれる先生は少なくないのではないでしょうか?生徒の目を輝かせるためには……そこでご提案、子どもが大好きな「謎解き」をレッスンに取り入れてみるのはいかがでしょうか?謎が詰まった《インヴェンション》は、うってつけとも言えます。曲のしくみや歌い方を生徒さんと一緒に探しながら、楽しく創造的なレッスンを目指してみませんか?
◆自己解決能力が高まる ばばっち先生のしつもんプログラム~ワーク付(馬場一峰)
しつもんに答えることで、レッスンの悩みを自己解決できるようになる、馬場一峰先生のプログラムです。今回のテーマは、「本番が目の前なのに、練習をしてこないってどういうこと?」です。
◆世界史から読み解く 音楽史(広瀬大介)
18世紀から20世紀に至る世界史の大事件と、それを描いた、あるいはそれに影響を受けた音楽作品にスポットを当てることで、音楽をより深く愉しめるようになる連載。同時代の日本の状況にも目を向け、毎回ミニミニ年表で整理していきます。今回は、「シューマンにとっての『二月革命』とその後」。
◆保護者と良好な関係を築くための 伝え方講座(古内奈津子)
保護者との間でよくある問題を例に、良好な関係性を保ちながらスムーズに教室を運営していくための「指導者としての考え方」や「保護者への具体的な伝え方」をお伝えしていきます。今回は、「指導方針についての要望が多い保護者に困っている」です。
◆ピアニストのパリ日記(丸山凪乃)
国際コンクールで受賞を重ね、ヨーロッパを拠点に多くのコンサートやフェスティバルに出演、現在はパリ国立高等音楽院の修士課程に在学中の丸山凪乃さん。12才から現在に至る、パリでの生活を綴っていただきます。
今回は、「時空を超えて届く音楽の力」。
◆マサさんの 目からウロコのコードのお話(松田 昌)
コード理論を初めて習う方だけでなく、基本的なことは知っているという方にも「目からウロコ」が落ちること間違いなしの、松田昌先生の連載。コードのしくみや、アレンジへの取り入れ方などを教えていただきます。
今回のテーマは、「生徒のための連弾伴奏に挑戦!~コードの各音の横の流れを名曲から学ぶ~」です。
◆メトードローズ・ピアノ教則本で読譜力と表現力をつけるレッスン(齊藤浩子)
美しい曲で、易しいテクニックから徐々に深く学べる『メトードローズ・ピアノ教則本』。導入期のレッスンにメトードローズを取り入れている齊藤浩子先生に、活用法を教えていただきます。今回のテーマは、「8分の3拍子と8分の6拍子」。
◆楽器店カリスママネージャーが伝える 気持ちがラクになる 教室運営の基本を押さえよう(星野真之)
数百名に及ぶピアノの先生のお悩みを解決し続けてきた楽器店のカリスマ・マネージャーが、読んだらすぐに実行できる教室運営のアドバイスをお届けします。今回のテーマは、「コミュニケーションの秘訣は“受けて立つこと”」。
◆音遊びから始めよう~ピアノレッスンにつながる表現の種~(鈴木和子)
子どもたちの表現意欲を育てるレッスンをしている鈴木和子先生に、導入期から始められるレッスンのアイディアを教えていただきます。今回のテーマは、「ペッタンペッタン」です。
[教材]
◆スギテツ presents ザッツ・エンタメ・ピアノの発表会(杉浦哲郎)
「クラシックで笑顔を創る」をモットーに活動する、ピアノとヴァイオリンのデュオ・スギテツ。ピアノ&編曲を担当する杉浦哲郎さんに、来場者みんなが笑顔になれる、ピアノ発表会の演出方法やアンサンブル楽譜をご提案いただきます。今回のテーマは、「世界中でお花見を!?~ピアノ独奏でおもしろクラシック!~」です。
◆誰でもできる 作曲入門(壺井一歩)
作曲をするのは難しい、と思いこんでいませんか?そんなあなたや子どもたちにオススメする、やさしい作曲講座です。実際に作曲をしてみると、「曲がどのように作られているか」が分かります。アナリーゼのヒントもたくさん見つかることでしょう。
今回は「伴奏(リズム)を作ろう」。
◆入会2年で音大入試問題が解けるようになる! あやか先生の楽典ドリル(永瀬礼佳)
曲を解釈するためには、「楽典」の知識がまず必要不可欠です。でも、楽典というと「音大入試のために勉強するもの」「子どもには難しい」と思い込んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか? この連載では、かわいらしいイラストと易しい解説付きで、幼児向けのドリルを掲載していきます。第20回は「短ちょうの音かいを作ろう」。
◆ハノンクリニック(奈良井 巳城)
今回は、レガート奏法全般について、レガート科教授の滑奏子先生に伺います。
◆ピアノレッスンのトリセツ!(佐野由美子)
初めてピアノを習う生徒や保護者に向けて、レッスンの“取扱説明書”をベテラン指導者の佐野由美子先生に作成していただきます。今回のテーマは「目標を立ててたくさん弾こう」です。
[巻末とじ込み]
◆楽譜
樹原涼子・轟 千尋・春畑セロリ
お話と音楽のきらめくバトン
樹原涼子・轟千尋・春畑セロリという今を時めく3人の作曲家による特別企画。タイトル通り、3人がリレーでお話と曲を書いていくもので、どのような展開になってどのような曲が生まれていくのかは、バトンを渡されるまで分からないというハラハラ・ドキドキする企画。毎月誕生する新曲を、どうぞお楽しみください。
第3回は、「泉のほとりには……」(春畑セロリ)。
◆付録
「ゆびさきシート」(福島優子)
ピアノを弾くときに綺麗な手指の形を保つための「ゆびさきシート」です。
10月号で取り上げた曲一覧
※「今月の1曲」以外の作品(括弧内は取り上げた記事のタイトル)
シューマン:異国から(マサさんの 目からウロコのコードのお話)
ドビュッシー:《ベルガマスク組曲》より第1曲〈プレリュード〉(生徒を変身させる24のキーワード)
日本古謡:さくらさくら(ザッツ・エンタメ・ピアノの発表会)
ハイドン:《ピアノ・ソナタ第3番》より終楽章(生徒を変身させる24のキーワード)
アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳~ミュゼット ニ長調(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳~メヌエット ニ短調(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
W.F.バッハ:メヌエット ト長調(特集「番外編:バッハの息子たちの作品をどう教える?」)
C.P.E.バッハ:アレグロ ト長調(特集「番外編:バッハの息子たちの作品をどう教える?」)
G.H.バッハ:アリア ニ短調(特集「番外編:バッハの息子たちの作品をどう教える?」)
J.C.F.バッハ:メヌエット ト長調(特集「番外編:バッハの息子たちの作品をどう教える?」)
J.S.バッハ:インヴェンション第1番(バッハ《インヴェンション》が楽しくなるレッスン)
J.S.バッハ:パルティータ第1番~メヌエット(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第2番~メヌエット(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第3番~サラバンド(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第4番~サラバンド(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第5番~ガヴォット(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第5番~サラバンド(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第6番~サラバンド(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第6番~ポロネーズ(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第6番~メヌエット(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
春畑セロリ:泉のほとりには……(お話と音楽のきらめくバトン)
ブラームス:狂詩曲第1番(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
ブラームス:《ピアノ協奏曲第1番》より第1楽章(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
ブラームス:《ピアノ・ソナタ第3番》より第2楽章(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
ブラームス:《ピアノ・ソナタ第3番》より第5楽章(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
ブルクミュラー:おしゃべり娘(『ブルクミュラー25の練習曲』曲のしくみと演奏法)
ブルクミュラー:ちょっぴり不満(『ブルクミュラー25の練習曲』曲のしくみと演奏法)
ベートーヴェン:《交響曲第9番》より第3楽章(今月の1曲 誌上講座①アナリーゼ)
ベートーヴェン:《悲愴ソナタ》より第1楽章(今月の1曲 誌上講座①アナリーゼ、誌上講座②演奏・指導法)
ベートーヴェン:《悲愴ソナタ》より第3楽章(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
メンデルスゾーン:無言歌 Op.38-2(教えながら学ぶ アナリーゼ入門)
モーツァルト:アレグロ(ピアノテーマパーク)
モーツァルト:《メヌエット》K.2(音遊びから始めよう)
誌上レッスン バッハの舞曲をどう教える?(杉浦日出夫)
◆番外編 バッハの息子たちの作品をどう教える?(杉浦日出夫)
バッハは心が震えるような美しい名曲の宝庫。生徒さんとともに、この美しさに感動しながら教えられたらすばらしいですね。しかし実際のレッスンでは、指導の根拠となる知識の裏付けも必要です。
そこでバッハ指導に定評のある杉浦日出夫先生に、バッハの中でも特に知りたい舞曲について、どのように教えておられるのかを会話形式で誌上レッスンしていただきました。また番外編として、バッハの息子たちの作品についても教えていただきました。基礎を踏まえた上で、しかしそれだけに縛られることなく音楽的な演奏をするための、貴重なアドバイスが詰まった保存版です。
[今月の1曲]
(2020年7月号~10月号選曲者:奈良井巳城)
ベートーヴェン《「悲愴」ソナタ》第2楽章
[今月の1曲 連動企画]
◆誌上講座① アナリーゼ(加藤真一郎)
物語を紡ぐ、記憶の糸
~ベートーヴェンのソナタでいちばん大切なこと~
《悲愴ソナタ》第2楽章は、第1楽章の様々な記憶が“サブリミナル効果”のように反映されることで、より深さや奥行きのある音楽になっています。そこで、まず第1楽章の冒頭から印象的な音響を取り上げ、それが第2楽章でどのように反映されているのかを考察しながら、曲の構成を詳しく解説していきます。
◆誌上講座② 演奏・指導法(白石光隆)
限られた音域・音数の中に込められたメッセージを美しく表現しよう
温かい響きと一度聴いたら忘れられない美しい旋律で、誰もが憧れる《悲愴ソナタ》の第2楽章。演奏する上で注意したいポイントや、c-moll作品におけるAs-Durの緩徐楽章の役割、“憧れ”を表現するモティーフなどについて、ほかの作曲家の作品も取り上げながら詳しく解説します。
◆今月の1曲 豆知識
今月の1曲にまつわる豆知識を、譜例を用いながら解説します。
[トピックス]
◆「聴く力」を育てるウィレムス・メソッド(若林一惠)
よい演奏家、よい聴き手になるためには、よい耳を育てることが大切です。よい耳をもつ音楽愛好家が増えれば未来の音楽文化が豊かなものになるはずで、ここでピアノ指導者が大きな役割を果たします。どうすれば意識的に耳を使い、よい耳を育てることができるのでしょうか?一つの方法として、20世紀の音楽教育家エドガー・ウィレムスのメソッドをご紹介します。日本ではまだほとんど知られていないその教育思想やメソッドの概要を、ウィレムスの研究で博士号を取得した若林一惠さんに、10月号・11月号の2回にわたって解説していただきます。今回のテーマは「音楽教育家ウィレムスの生涯とその思想」。
◆Report 第44回ピティナ・ピアノコンペティション 特級ファイナル(小倉多美子)
多くの部門が中止または延期され、大幅な変更での開催となった今年のピティナ・ピアノコンペティション。その特級ファイナルの模様を、詳しくレポートします。
[連載]
◆森田香先生のオンラインで使える教材シリーズ(森田 香)
森田香先生が監修した付録を、オンラインレッスンでも使えるように再構成しました。今回は「音程あそび 応用編」です。
◆角野隼斗の 令和の音楽ライフ(角野隼斗)
これまでの「ピアニスト」のイメージに留まらない角野隼斗さんが、様々な音楽活動をする中で、日々考えていることや感じたことなどを綴っていただきます。
今回は「自分の言葉で表現するということ」。
◆ピアノテーマパーク~バロックから近現代のやさしい名曲の背景をたどる~(江口文子)
「つながる音切れる音」「両手の対話」「リズムと踊り」「色と形と構成」の4つのテーマごとに、4期の名曲を集めた楽譜『4期のピアノテーマパーク』(江口文子先生監修)と連動した連載です。「自由な気持ちが音楽のはじまり」「心に浮かんだイメージを大切に育ててほしい」という、江口先生の思いが詰まったページです。創作漫画ユニット・留守keyさんによる、4期の特徴が分かるイラストも魅力。
第6回は、「モーツァルトのアレグロ」です。
◆生徒を変身させる 24のキーワード(根津栄子)
「こどものスケール・アルペジオ」の著者としても知られる根津栄子先生に、テクニック・表現・ステージマナーの3分野にわたり、生徒を無理なく上達させるコツを分かりやすいキーワードの形でご紹介いただきます。今月のキーワードは、「8.指手首」。
◆初級のピアノテクニック きほんのき(松本倫子)
これまでの導入期のテクニック指導から一歩進んで、初級の子どもたちに指のテクニックをどう教えるかを詳しくお伝えしていく連載。今月のテーマは、「ハノン~世界に通用する指づくり、音づくり」。
◆根源的なテーマから学びを深める 樹原涼子の誌上マスタークラス(樹原涼子)
『ピアノランド』シリーズの著者がこれまでの研究で発見したこと、伝えたいと思うテーマを一つずつ丁寧に掘り下げる講座「樹原涼子のマスタークラス」と連動した連載。根源的なテーマから、今一度音楽との向き合い方を深く考えていきます。第3回は「指先のタッチポイントについて深く考える」です。
◆教えながら学ぶ アナリーゼ入門(西尾 洋)
楽譜が読め、旋律が歌え、鍵盤が理解できるのと同じくらいに、弾いている作品の「その作品らしさ」に迫る方法を生徒が身に付けられたら、音楽はきっと一生の心の友になるでしょう。「教えながら学ぶ」ことをコンセプトとして、やさしい曲や人気のある曲を中心に、自力で作品に近づく方法を懇切丁寧に紐解いていきます。
第3回は、「メンデルスゾーン――楽譜が無言とはいわせない」です。
◆ポピュラー音楽指導塾~リズム力をつけよう!~(佐土原知子)
34年ほど前からポピュラー曲を積極的にレッスンに取り入れてきた著者が、明日のレッスンに使える様々な手法や情報をご紹介する連載。ポピュラーを4つのリズム区分に分け、ジャンル別に「演奏と指導のポイント」をお伝えしていきます。
今回は「ジャズ系⑥ブルース&ブギウギ」。オンラインレッスンなどでも活用できるよう、リズム音源のQRコード付きでお届けします!
◆6つのポイントで究める『ブルクミュラー25の練習曲』曲のしくみと演奏法(佐々木邦雄)
指導力に定評のある佐々木邦雄先生が、『ブルクミュラー25の練習曲』を全曲解説。曲のしくみと、ピアノの演奏法の両面から重要なポイントを語ります。今回は《ちょっぴり不満》《おしゃべり娘》です。
◆なんでピアノを弾くと疲れるの?左手のピアニストが見る 正しい奏法(智内威雄)
左手のピアニストの智内威雄さんが、奏法の問題解決の研究者、プライベートや音大でレッスン・奏法を教える指導者、また演奏家としての視点から、「演奏」について実践的なアドバイスを綴ります。
今回のテーマは「脱力演奏の第3段階~よく起きる3つの問題」。
◆ピアノをめぐる情景(青澤隆明)
音楽評論家として活躍する著者が、『ムジカノーヴァ』読者に向けて厳選したディスク、ピアニスト、コンサート等について綴ります。読後はピアノについてもっともっと知りたくなるエッセイです。
◆【新連載】生徒と一緒に謎解きしよう バッハ《インヴェンション》が楽しくなるレッスン(福田ひかり)
バッハの《インヴェンション》を実際のレッスンでどのように指導したらよいのか、悩まれる先生は少なくないのではないでしょうか?生徒の目を輝かせるためには……そこでご提案、子どもが大好きな「謎解き」をレッスンに取り入れてみるのはいかがでしょうか?謎が詰まった《インヴェンション》は、うってつけとも言えます。曲のしくみや歌い方を生徒さんと一緒に探しながら、楽しく創造的なレッスンを目指してみませんか?
◆自己解決能力が高まる ばばっち先生のしつもんプログラム~ワーク付(馬場一峰)
しつもんに答えることで、レッスンの悩みを自己解決できるようになる、馬場一峰先生のプログラムです。今回のテーマは、「本番が目の前なのに、練習をしてこないってどういうこと?」です。
◆世界史から読み解く 音楽史(広瀬大介)
18世紀から20世紀に至る世界史の大事件と、それを描いた、あるいはそれに影響を受けた音楽作品にスポットを当てることで、音楽をより深く愉しめるようになる連載。同時代の日本の状況にも目を向け、毎回ミニミニ年表で整理していきます。今回は、「シューマンにとっての『二月革命』とその後」。
◆保護者と良好な関係を築くための 伝え方講座(古内奈津子)
保護者との間でよくある問題を例に、良好な関係性を保ちながらスムーズに教室を運営していくための「指導者としての考え方」や「保護者への具体的な伝え方」をお伝えしていきます。今回は、「指導方針についての要望が多い保護者に困っている」です。
◆ピアニストのパリ日記(丸山凪乃)
国際コンクールで受賞を重ね、ヨーロッパを拠点に多くのコンサートやフェスティバルに出演、現在はパリ国立高等音楽院の修士課程に在学中の丸山凪乃さん。12才から現在に至る、パリでの生活を綴っていただきます。
今回は、「時空を超えて届く音楽の力」。
◆マサさんの 目からウロコのコードのお話(松田 昌)
コード理論を初めて習う方だけでなく、基本的なことは知っているという方にも「目からウロコ」が落ちること間違いなしの、松田昌先生の連載。コードのしくみや、アレンジへの取り入れ方などを教えていただきます。
今回のテーマは、「生徒のための連弾伴奏に挑戦!~コードの各音の横の流れを名曲から学ぶ~」です。
◆メトードローズ・ピアノ教則本で読譜力と表現力をつけるレッスン(齊藤浩子)
美しい曲で、易しいテクニックから徐々に深く学べる『メトードローズ・ピアノ教則本』。導入期のレッスンにメトードローズを取り入れている齊藤浩子先生に、活用法を教えていただきます。今回のテーマは、「8分の3拍子と8分の6拍子」。
◆楽器店カリスママネージャーが伝える 気持ちがラクになる 教室運営の基本を押さえよう(星野真之)
数百名に及ぶピアノの先生のお悩みを解決し続けてきた楽器店のカリスマ・マネージャーが、読んだらすぐに実行できる教室運営のアドバイスをお届けします。今回のテーマは、「コミュニケーションの秘訣は“受けて立つこと”」。
◆音遊びから始めよう~ピアノレッスンにつながる表現の種~(鈴木和子)
子どもたちの表現意欲を育てるレッスンをしている鈴木和子先生に、導入期から始められるレッスンのアイディアを教えていただきます。今回のテーマは、「ペッタンペッタン」です。
[教材]
◆スギテツ presents ザッツ・エンタメ・ピアノの発表会(杉浦哲郎)
「クラシックで笑顔を創る」をモットーに活動する、ピアノとヴァイオリンのデュオ・スギテツ。ピアノ&編曲を担当する杉浦哲郎さんに、来場者みんなが笑顔になれる、ピアノ発表会の演出方法やアンサンブル楽譜をご提案いただきます。今回のテーマは、「世界中でお花見を!?~ピアノ独奏でおもしろクラシック!~」です。
◆誰でもできる 作曲入門(壺井一歩)
作曲をするのは難しい、と思いこんでいませんか?そんなあなたや子どもたちにオススメする、やさしい作曲講座です。実際に作曲をしてみると、「曲がどのように作られているか」が分かります。アナリーゼのヒントもたくさん見つかることでしょう。
今回は「伴奏(リズム)を作ろう」。
◆入会2年で音大入試問題が解けるようになる! あやか先生の楽典ドリル(永瀬礼佳)
曲を解釈するためには、「楽典」の知識がまず必要不可欠です。でも、楽典というと「音大入試のために勉強するもの」「子どもには難しい」と思い込んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか? この連載では、かわいらしいイラストと易しい解説付きで、幼児向けのドリルを掲載していきます。第20回は「短ちょうの音かいを作ろう」。
◆ハノンクリニック(奈良井 巳城)
今回は、レガート奏法全般について、レガート科教授の滑奏子先生に伺います。
◆ピアノレッスンのトリセツ!(佐野由美子)
初めてピアノを習う生徒や保護者に向けて、レッスンの“取扱説明書”をベテラン指導者の佐野由美子先生に作成していただきます。今回のテーマは「目標を立ててたくさん弾こう」です。
[巻末とじ込み]
◆楽譜
樹原涼子・轟 千尋・春畑セロリ
お話と音楽のきらめくバトン
樹原涼子・轟千尋・春畑セロリという今を時めく3人の作曲家による特別企画。タイトル通り、3人がリレーでお話と曲を書いていくもので、どのような展開になってどのような曲が生まれていくのかは、バトンを渡されるまで分からないというハラハラ・ドキドキする企画。毎月誕生する新曲を、どうぞお楽しみください。
第3回は、「泉のほとりには……」(春畑セロリ)。
◆付録
「ゆびさきシート」(福島優子)
ピアノを弾くときに綺麗な手指の形を保つための「ゆびさきシート」です。
10月号で取り上げた曲一覧
※「今月の1曲」以外の作品(括弧内は取り上げた記事のタイトル)
シューマン:異国から(マサさんの 目からウロコのコードのお話)
ドビュッシー:《ベルガマスク組曲》より第1曲〈プレリュード〉(生徒を変身させる24のキーワード)
日本古謡:さくらさくら(ザッツ・エンタメ・ピアノの発表会)
ハイドン:《ピアノ・ソナタ第3番》より終楽章(生徒を変身させる24のキーワード)
アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳~ミュゼット ニ長調(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳~メヌエット ニ短調(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
W.F.バッハ:メヌエット ト長調(特集「番外編:バッハの息子たちの作品をどう教える?」)
C.P.E.バッハ:アレグロ ト長調(特集「番外編:バッハの息子たちの作品をどう教える?」)
G.H.バッハ:アリア ニ短調(特集「番外編:バッハの息子たちの作品をどう教える?」)
J.C.F.バッハ:メヌエット ト長調(特集「番外編:バッハの息子たちの作品をどう教える?」)
J.S.バッハ:インヴェンション第1番(バッハ《インヴェンション》が楽しくなるレッスン)
J.S.バッハ:パルティータ第1番~メヌエット(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第2番~メヌエット(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第3番~サラバンド(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第4番~サラバンド(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第5番~ガヴォット(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第5番~サラバンド(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第6番~サラバンド(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第6番~ポロネーズ(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
J.S.バッハ:フランス組曲第6番~メヌエット(特集「バッハの舞曲をどう教える?」)
春畑セロリ:泉のほとりには……(お話と音楽のきらめくバトン)
ブラームス:狂詩曲第1番(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
ブラームス:《ピアノ協奏曲第1番》より第1楽章(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
ブラームス:《ピアノ・ソナタ第3番》より第2楽章(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
ブラームス:《ピアノ・ソナタ第3番》より第5楽章(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
ブルクミュラー:おしゃべり娘(『ブルクミュラー25の練習曲』曲のしくみと演奏法)
ブルクミュラー:ちょっぴり不満(『ブルクミュラー25の練習曲』曲のしくみと演奏法)
ベートーヴェン:《交響曲第9番》より第3楽章(今月の1曲 誌上講座①アナリーゼ)
ベートーヴェン:《悲愴ソナタ》より第1楽章(今月の1曲 誌上講座①アナリーゼ、誌上講座②演奏・指導法)
ベートーヴェン:《悲愴ソナタ》より第3楽章(今月の1曲 誌上講座②演奏・指導法)
メンデルスゾーン:無言歌 Op.38-2(教えながら学ぶ アナリーゼ入門)
モーツァルト:アレグロ(ピアノテーマパーク)
モーツァルト:《メヌエット》K.2(音遊びから始めよう)