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2017.07.31

『武満徹 ある作曲家の肖像』と『鳴らす力 聴く力』が ミュージック・ペンクラブ賞受賞!

音楽評論家の合議により、クラシック、ポピュラー、オーディオの各部門の優れた演奏、研究・評論・出版などに贈呈される第29回ミュージック・ペンクラブ音楽賞の選考が2月13日に行われ、昨年刊行された頭記の弊社2作品が、クラシック部門とオーディオ部門の出版物の賞を獲得しました。

クラシック部門 研究・評論部門賞

「武満徹 ある作曲家の肖像」

小野光子 著

日本を代表する作曲家である武満徹に関する著作は少なくないが、没後20年に小野光子著『武満徹 ある作曲家の肖像』(音楽之友社 2016年)が出版されたことには大きな意義がある。これまでの著作の多くが武満自身と直接的な繋がりのある著者によって書かれたのとは異なり、武満自身とは会ったこともない小野氏は、それらの資料を客観的に評価し、最初の本格的な評伝として書き上げたからである。とはいえ、これは単に客観的な叙述ではない。本書のどのページを読んでも、そこには武満の生きた姿が感じられる。それは、武満研究をライフワークとしてきた小野氏だからこそなしえた生きた評伝だからである。詳細な年表、出典を正確に示した註の存在は、今後の武満研究にとって基本的文献となりうる信頼性を与えている。(樋口隆一)
※選考資料より

オーディオ部門 著作出版物

「鳴らす力 聴く力」

貝山知弘/青澤唯夫 共著

オーディオ評論家貝山知弘氏は筋金入りの音楽愛好家であり、音楽評論家青澤氏も熱心なオーディオマニアだ。青澤氏がオーディオに求めるものは、「入っている音が素直に出れば良い。」貝山氏にとっては、演奏のニュアンスや音楽の暗喩を探っていくアンテナと、もっと積極的だ。しかし両人共、始めに音楽(演奏)ありき、という点で一致している。昵懇の仲の愛好家同士ということもあり意見のぶつかり合いやスリリングな論争こそないが、これからオーディオを探求してみようという音楽ファンを戸惑わせる心配がなく格好の入門書。両人のリファレンスディスク(CD、LP)が多数紹介され、オーディオファンにとっては日々の試聴の参考になろう。(大橋伸太郎)
※選考資料より

第29回ミュージック・ペンクラブ音楽賞の受賞一覧は次の通りです。

■クラシック部門
1. 独奏・独唱部門賞 = 舘野泉(ピアノ)
2. 室内楽・合唱部門賞 = 古典四重奏団(弦楽四重奏)
3. オペラ・オーケストラ部門賞 = 兵庫芸術文化センター管弦楽団
4. 現代音楽部門賞 = 京都市交響楽団(60周年記念特別演奏会シュトックハウゼン : グルッペン)
5. 研究・評論部門賞 = 小野光子著「武満徹 ある作曲家の肖像」(音楽之友社)
6. 功労賞 = 中村紘子(ピアノ) / モーシェ・アツモン(指揮) / 宇野功芳(音楽評論・指揮)
■ポピュラー部門
1. 最優秀作品賞 = 渡辺香津美「ギター・イズ・ビューティフルKW45」(ワーナーミュージック・ジャパン)
2. 作品企画賞 = 服部隆之「NHK大河ドラマ真田丸オリジナル・サウンドトラックTHE BEST」(NHK / エイベックス・クラシックス・インターナショナル)
3. イベント企画賞 = サラヴァ・レーベル50周年事業
4. 新人賞 = ゆげみわこ(ヴォーカル)
5. 著作出版物賞 = 宮永正隆著「ビートルズ来日学」(ディスクユニオン)
6. 功労賞 = 石坂敬一
■オーディオ部門
1. 技術開発 = ヤマハ NS5000(スピーカーシステム)
2. 優秀録音 = ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ第30番、第31番、第32番
ピアノ : 田部京子(オクタヴィア・レコード)
3. 著作出版物 = 貝山知弘 / 青澤唯夫共著「鳴らす力 聴く力」(音楽之友社)
4. 功労賞 = 鈴木信行(フェーズメーション協同電子エンジニアリング株式会社会長)
■特別賞(各部門共通) = 冨田勲(作曲)