• 武満徹 ある作曲家の肖像

書籍 評論・読み物

武満徹 ある作曲家の肖像

小野光子

定価
6,050円 (本体5,500円+税)
判型・頁数
A5・472頁
発行年月
2016年8月
ISBNコード
9784276226906
商品コード
226900

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内容紹介

This book is the first full-scale biography of Toru TAKEMITSU. 没後20年、ありそうでなかった武満徹の初の本格的伝記。武満自身の発言や関係者の証言を交え、その生涯の軌跡を辿る。武満の人となりがよくわかるコラムのページを設け、巻末には略年譜と、武満をめぐる主要人物が一目でわかる表を掲載。貴重な写真も多数収録。著者は武満の年譜・資料研究の第一人者。武満とその音楽に関心のあるかた全員にお勧め! 装幀 菊地信義。

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目次

はじめに


第1章 音楽との出会い 1930‐49年(0歳から19歳)
コスモポリタンな幼少期
 生まれ/両親/満州へ渡る/帰国、小学校へ入学/育ての親/父の死/映画館通い
戦争が始まる
 中学へ入学/空襲の恐怖/勤労動員先で/人生を変えたシャンソン
戦後の混乱
 世田谷代田へ/激変した価値観/ピアノと紙ピアノ
恩師との出会い
 清瀬保二/肉体としての音感/早坂文雄と映画の仕事/高校を卒業
コラム 背格好


第2章 切磋琢磨の日々~友情と愛、生と死 1950‐57年(20歳から27歳)
作曲家・武満徹の誕生
 CIE図書館/レントの発見/愛する女性との出会い/《二つのレント》でデビュー/シュルレアリスト、瀧口修造
美術+詩+音楽
 詩画集『妖精の距離』/初めてのエッセイ「パウル・クレエと音楽」/「実験工房」結成/映画『北斎』での挫折/
 “悲しみ”の音楽/文楽への関心
いつまで生きられるか
 結核で入院/谷川俊太郎/結婚/黛敏郎から贈られたピアノ/演劇の仕事
「音の河」、われわれをとりまく世界を貫くもの
 ミュジック・コンクレート/放送局でのスタジオ・ワーク/療養生活のために鎌倉へ/畏兄・早坂文雄の死/
 ラジオドラマからテープ作品へ/ヴォーカリズム三部作
映画の世界へ
 『狂った果実』/中村登監督
《弦楽のためのレクイエム》
 はじまりも終わりもさだかでない音楽/大江健三郎
コラム 仕事部屋


第3章 前衛の時代 1958‐63年(28歳から33歳)
動き始めた人生
 日本的な表現と現代性の接点/二十世紀音楽研究所主催「軽井沢現代音楽祭」/ストラヴィンスキーの来日/本質をめぐる議論
草月アートセンターでの熱い日々
 前衛の拠点/勅使河原宏監督との第一作/怒れる若者たち/作曲家集団の個展/安保闘争と挫折/療養生活を終え、東京へ/
 ジャズからの刺激/鬼才・高橋悠治/樹のイメージ
ヨーロッパの前衛とアメリカの前衛
 ヨーロッパの前衛/アメリカ前衛音楽の衝撃/環のイメージ/小澤征爾との出会い/庭からのヒント/子どもの誕生/
 図形楽譜/ジョン・ケージの来日/赤坂を離れて成城へ
意欲的な映画監督との出会い
 羽仁進監督『不良少年』/小林正樹監督『からみ合い』と『切腹』/勅使河原宏監督『おとし穴』


第4章 武満からTAKEMITSUへ 1964‐69年(34歳から39歳)
同時代の思想と感情
 気鋭の映画監督との仕事/『武満徹←1930………∞』を自費出版/初めての海外
伝統と現代
 尺八の横山勝也と琵琶の鶴田錦史/《テクスチュアズ》/ベ平連と《死んだ男の残したものは》/邦楽の名人との対談/
 御代田、はじめての家/現代音楽祭「オーケストラル・スペース」/琵琶と尺八のための《蝕(エクリプス)》/
 《地平線のドーリア》/《弧(アーク))》/アフリカの民謡《アビヨヨ》
西も東もない新たな一歩(ステップ)
 《ノヴェンバー・ステップス》/琵琶と尺八の渡米/ニューヨークの熱気と乾燥/『OZAWA:MESSIAEN/TAKEMITSU』/
 日本へのアンビヴァレントな感情/さわりについて/帰国/オーケストラル・スペース’68/信奉者、現わる!?/
 オーストラリア、ユーカリの樹


第5章 日本を拠点に、世界に窓を開く 1970‐79年(40歳から49歳)
Expo’70(大阪万博)の開幕
 パビリオン「鉄鋼館」/スペース・シアターでの試み/スペース・シアターでの演奏会/万博の光と影/大島渚、黒澤明との仕事
欧米からのラブ・コール
 ヴィルトゥオーソ、ニコレとホリガー/サラベール社の誘い/瀧口修造とJ・ミロの『手づくり諺』/『音、沈黙と測りあえるほどに』/
 アメリカ、フランスでの初めての特集/スランプ!?/バリ島で、未知との遭遇/ロンドンで初めての特集
日本からの発信
 現代音楽祭「今日の音楽 Music Today」/日本の楽器のための委嘱作/講義「鏡と卵」/これは前衛だろうか?/水のイメージ/
 “星形の庭へ舞降りる鳥たち”の夢/パリの秋(フェスティ)芸術(ヴァル・)祭(ドートンヌ)「間」展/岩波文化とのかかわり/
 瀧口修造との別れ
コラム 渋谷宇田川町へ転居/多摩湖町へ転居


第6章 普遍的(ユニヴァーサル・)卵(エッグ)を抱えて 1980‐89年(50歳から59歳)
夢の風景、水の風景を音楽で描く
 夢シリーズ、水シリーズ/ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』/「水の風景」/
 先住民(アボリジニ)の「夢(ドリーム)の(・)時(タイム)」/テレビと映画で広がる聴衆
正のエネルギーに変換する想像力(ヴィジョン)
 示唆する者としてのかりそめの役割/若い人たちのために/イギリスでの協同者/夢と数――ロマンティストの醒めた眼/
 サイモン・ラトル/映画の仕事/夢(む)窓(そう)、内部(インテリア)(夢)と外部(エクステリア)(窓)
音楽祭での交友
 トーキョー・ミュージック・ジョイ/海外の音楽祭での特集/サントリーホール誕生と「国際作曲委嘱シリーズ」/
 作品シリーズから作品の集積“opera”へ/「今日の音楽」、銀座へ/テンポ指示のなぞ/亡き人を偲ぶ音楽/オペラの構想①/
 フランス革命二〇〇周年祭/八ヶ岳高原音楽祭と飛騨古川音楽祭
コラム 口笛の名人


第7章 希望 1990‐96(60歳から65歳)
還暦を迎えて
 シカゴ交響楽団委嘱作《ヴィジョンズ》/ヴァイナーへの連祷(リタニ)/アヴィニョンでの特集/還暦を祝う催し/欧米での祝祭/
 オペラの構想②/東京オペラシティ断章①
音楽の世界市民として
 ストルツマンと《ファンダズマ/カントス》/タケミツ・シグネチュア/E・ディキンソンの詩/「今日の音楽」、最終回/
 《系図》――ファミリー・ツリー/ハリウッドでの仕事/時代の潮流の中で/東京オペラシティ断章②/オペラの構想③/《精霊の庭》
遠い呼び声の彼方へ
 最後の旅行/癌を宣告され入院/御代田の秋/ポップスと武満/最後の一ヶ月/《マタイ受難曲》/永遠への旅立ち


武満徹略年譜(小野光子編)
あとがき

武満徹をめぐる人々
武満徹作品名索引
人名・団体名索引