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書籍 評論・読み物

音楽評論の一五〇年 福地桜痴から吉田秀和まで

白石美雪

定価
3,850円 (本体3,500円+税)
判型・頁数
4-6・368頁
発行年月
2024年3月
ISBNコード
9784276201163
商品コード
201160

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内容紹介

本書では、気鋭の音楽学者である著者が「私はなぜ音楽評論を書くのか」という自身への問いを根源として、歴史的事象を読み解きながら音楽評論そのものを客観的に探究する。本書の起点となる1875年(明治8年)『東京日日新聞』の記事から、今日に至るまで約150年。音楽文化は、音楽評論によって多様な人々が輪を作りその車輪を動かし続けてきた。本書は、新聞の音楽評論、音楽雑誌、芸大楽理科、音楽之友社、遠山一行、吉田秀和ほか、音楽評論にとって重要で興味深い9つのテーマを時系列的に扱い、極力、評論自体を紹介しながら展開。インターネット社会の今だからこそ、あらためて日本の近代150年のスパンで音楽評論とは何かを問う渾身の一冊。

目次

はじめに

■第1章 「音楽がわからない」音楽評論家―福地桜痴と『東京日日新聞』
1.福地桜痴(源一郎)という人物 
2.明治初期の『東京日日新聞』と音楽記事
3.「政治社会の奴隷の時代」の音楽評論 
4.主筆から社長交替にいたる時期の音楽評論
5.小説家・戯曲作者としての福地桜痴
6.「音楽がわからない」音楽評論家 

■第2章 学校音楽に期待をかける『音楽雑誌』―四竈訥治の時代
1.日本で最初の音楽雑誌
2.領域としての学校音楽
3.教育勅語をめぐって
4.『音楽雑誌』における音楽改良論
5.『音楽雑誌』と『おむがく』における演奏会批評
6. 四竈訥治の功績とは

■第3章 「一私人の一私言」を超える演奏批評 ―一八九八年(明治三一年)の『読売新聞』から
1.「演奏批評」、始まる
2.一八九八年(明治三一年)の『読売新聞』
3.論評を自称する音楽評論の始まり
4.「演奏批評」の連載
5.演奏批評・楽評を論じる音楽評論
 
■第4章 楽壇の画期としての同人雑誌─『音楽と文学』とその周辺
1.「楽壇」の成立
2.「日本最初の批評家」大田黒元雄の執筆活動 
3.雑誌『音楽と文学』の創刊
4.『音楽と文学』におけるテーマの特徴
5.大田黒元雄の文体
6.評論主導の「楽壇」

■第5章 音楽評論家の社会的認知と音楽著作権―昭和初期の批評のすがた
1.『音楽年鑑』にみる昭和初期の評論家・記者・理論家
2.音楽ジャーナリズムの覚醒
3.音楽評論をめぐる批評
4.著作権問題
 
■第6章 「近代の超克」と大東亜共栄圏 ―総力戦体制下の洋楽と音楽雑誌の統廃合
1.総力戦体制と音楽
2.総力戦体制下の音楽雑誌
3.総力戦体制下の洋楽と評論 
4.日本諸学振興委員会芸術学会の動向
5.音楽における「近代の超克」

■第7章 アカデミズムとジャーナリズム ―東京帝国大学美学美術史学科から東京芸術大学楽理科開設へ
1.音楽におけるアカデミズムの成立
2.東京芸術大学の成立と楽理科の開設
3.新聞報道と『音楽芸術』の動向
4.東京音楽学校内の改革論
5.楽理科の発足とその後

■第8章 「健全な聴取者」というヒューマニズム ―遠山一行の音楽評論
1.音楽評論の筆をにぎるまで
2.アカデミズムではなく、ジャーナリズムでもなく
3.小林秀雄と河上徹太郎の音楽評論
4.「純粋批評」の夢―フランス留学前の評論
5.ヨーロッパで生まれた「他者意識」と対話体の評論
6.『季刊藝術』の創刊と変遷
7.徹底した個人主義に基づく「私」の音楽評論
 
■第9章 「音楽的自我」を生きる ―吉田秀和の評論活動
1.音楽評論を書き始めるまで
2.最初期の評論活動
3.「ローベルト・シューマン」
4.思考の前進力に支えられた音楽批評
5.音楽評論家のタブラ・ラサ
6.絶え間なく変転する音楽的自我

あとがき 

人名索引