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書籍 理論・専門書

上手に歌うためのQ&A

歌い手と教師のための手引書

リチャード・ミラー 著/岸本宏子長岡英

定価
4,400円 (本体4,000円+税)
判型・頁数
A5・384頁
発行年月
2009年5月
ISBNコード
9784276142596
商品コード
142590

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内容紹介

「ベルカント」を中心命題に、「喉のメカニズム」から「発声方法」、さらには「舞台に立つ際の心構え」まで、実際の歌い手たちが知りたいことをQ&A方式にまとめたもので、質問は200以上におよび、それらがテーマごとに整理されまとめられていて、初めから順に読み進むことも、必要箇所を選んで読むこともできるスタイルとなっている。アマチュアも含めた「歌い手」たちと、その指導者に向けた、1冊ですべてを網羅するオール・イン・ワンの実用書といえる。原書は、著者が長年行ってきた歌唱法講座において、その受講生(歌い手と教師)から実際に出された質問をもとに編集された。すなわち、すべてが実際に歌っている人たちから生じた疑問であり、そのレベルは簡単なものから高度なものまでと多彩である。それに対する回答も大変実用的なものとなっており、必要なトピックによっては筋肉や喉の内部の図解も併載してわかりやすい解説がなされている。付録として、声楽用語一覧や、初心者向き曲目レパートリー集などを併載。
 なお、著者のリチャード・ミラー氏は、2009年5月5日に逝去されました。以下は、アメリカの声楽教育関係者の弔辞からの抜粋です。

「世界の声楽界は、5月5日に世を去られたリチャード・ミラー氏の死を悼み…(中略)…氏はオペラ、オラトリオ、リサイタルで国際的に活躍したテナーでしたが、声楽教育に専心するために帰国し…(中略)…声楽教育者の間で、もっとも崇拝される存在となり…(中略)…彼のStructure of Singing(1986)は、以後の声楽教育の考え方を一変させ、多くの追随者を生み出しました…(後略)…」(「アメリカ声楽教育学界(NATS National Association of Teachers of Singing)」のホームページより/岸本訳)

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目次


本文を読み始める前に読む章[訳者によるまえがき]

第1章 呼吸について
No. 1 アッポッジョ(支え)と腹式呼吸(腹壁のサポート)
No. 2 胃壁を突き出す?
No. 3 アッポッジョ(支え)を身につけるにはどのくらいの時間がかかるか?
No. 4 歌いだしの手順、音を出さない呼吸の練習、ファリネッリ方式
No. 5 歌いだしは短く
No. 6 うなじのアッポッジョ(支え)
No. 7 アッポッジョ(支え)を中・高校生に説明する
No. 8 ラ・ロッタ・ヴォカーレ
No. 9 サポート・メカニズムが硬い
No. 10 共鳴器管/喉頭/呼吸
No. 11 息を吸うしぐさをしながら歌う
No. 12 気圧と声
No. 13 呼吸管理の蝋燭テスト
No. 14 空気を肺から出しきる
No. 15 呼吸によりかかる
No. 16 息を抑える
No. 17 自然な呼吸
No. 18 長いフレーズにそなえて「満タン」にする
No. 19 押しつけた声
No. 20 音量を増すのではなく、エネルギーを増す
No. 21 上背部で呼吸する
No. 22 鼻呼吸
No. 23 音の高低と呼吸の圧力の関係
No. 24 息を吐きすぎる若い女声の矯正法
No. 25 息の上に声を乗せる
No. 26 若い女声が高音域で息もれする
No. 27 テノールとバリトンのエネルギー量
No. 28 フレーズの終わり方について
No. 29 メリスマのときにはどのような感覚があるか(はね上がる上腹部)
No. 30 腹壁筋の連携

第2章 姿勢
No. 31 いつも品よく背筋をぴんと
No. 32 足の構えを変えて体重を移すこと
No. 33 背骨が反り返った歌い手
No. 34 胸骨が下がる
No. 35 ガルシア・ポジション
No. 36 仰向けになって歌う
No. 37 立って歌うか座って歌うか
No. 38 歌っているときの身体の動き
No. 39 首の緊張
No. 40 顎を下げすぎる
No. 41 歌っているときに首がふくらむ

第3章 喉の仕組み
No. 42 筋肉の弾性と空気が声帯を振動させる
No. 43 声帯の外転・内転
No. 44 重い喉の仕組み、軽い喉の仕組み
No. 45 偽声帯
No. 46 歌っているときに喉頭蓋は何をするのか
No. 47 共鳴器としての気管
No. 48 喉頭を上下させる
No. 49 甲状軟骨と輪状軟骨を離す
No. 50 流れる発声
No. 51 押しつけた発声に空気を加える
No. 52 ダンピング

第4章 共鳴のバランスをとる
No. 53 声道
No. 54 キアーロスクーロ(明暗法)
No. 55 母音確定とIPA記号
No. 56 母音の周波数域が変化しても、音色の均一性を保つ
No. 57 ヴォーチェ・アペルタとヴォーチェ・キウーザ
No. 58 歌っているときの感覚
No. 59 共振
No. 60 音響と耳カッピング
No. 61 フォルマントを知ることは必要ですか?
No. 62 男性の3K(3000ヘルツ)ファクターを奥舌母音で持続する
No. 63 女声の高い音域で、音を暗くする第1フォルマントを維持する
No. 64 母音/a/が尻すぼみになる
No. 65 母音/u/の扱い方
No. 66 母音、グッドgood[gUd]のウ/U/で歌うこと
No. 67 /oe/や/o/などの混合母音を移行母音として使う
No. 68 /ae/を使って共鳴のバランスを教える
No. 69 インポスト
No. 70 声を前に置く
No. 71 テノールの共鳴とバリトンの共鳴
No. 72 ボッカ・ラッコルタ
No. 73 「話すように歌う」と「発音がよい人は歌がうまい」
No. 74 馬鹿顎
No. 75 口の中に3本の指を入れる
No. 76 「だんご」
No. 77 顎を引き下げる
No. 78 硬い顎をリラックスさせること
No. 79 顎関節機能障害(TMJ)と歌う声
No. 80 顎下の筋肉
No. 81 高音域でピアノとフォルテを歌うときの口の形
No. 82 スフォガートの音色とは?
No. 83 頬骨筋を使うこと
No. 84 頬の部位の筋膜を上げる
No. 85 口峡のアーチ
No. 86 上唇を伸ばす
No. 87 舌に注意を向ける
No. 88 舌の形は学習するもの? 習慣的なもの? 自然が一番?
No. 89 舌先のトリル
No. 90 「ブルルル」という唇のトリル
No. 91 外郭のサポート、震える顎と舌
No. 92 舌の付け根の緊張
No. 93 反り返った舌
No. 94 鼻の構造
No. 95 鼻孔を広げて、額にしわを寄せる
No. 96 粘着テープを貼っちゃうぞ
No. 97 喉にスペースを作る?
No. 98 歌っているときの喉の感覚

第5章 継続鼻音と非鼻音性子音
No. 99 子音のためのIPA記号
No. 100 鼻音性を矯正する
No. 101 軟口蓋が下がる
No. 102 鼻音の後に母音が続くとき
No. 103 フランス語の鼻音の持続時間
No. 104 対になる有声子音と無声子音
No. 105 共鳴器系を調整するためにパイロット子音を使う
No. 106 先行子音
No. 107 子音をダブらせる
No. 108 レガートを生み出す助けとなる子音
No. 109 ICHとACH
No. 110 軽くはじく/r/と巻き舌/r/の連続を習得する

第6章 ヴィブラート
No. 111 自由な振動
No. 112 ヴィブラートの確立と安定
No. 113 コロラトゥーラとヴィブラート
No. 114 トリル
No. 115 トリッロ
No. 116 若い歌い手のヴィブラート
No. 117 スペクトログラフとヴィブラート
No. 118 矯正のためにノン・ヴィブラートを使うこと
No. 119 ドイツのヴィブラートとイタリアのヴィブラート

第7章 声区融合
No. 120 若い男声のカテゴリーについて
No. 121 声のカテゴリーをバリトンからテノールへと変える
No. 122 低い男声の胸声
No. 123 高音域が続くソプラノのフレーズで蓄積される緊張
No. 124 パッサッジョで狭くなること
No. 125 高音域を発達させること
No. 126 女性が高音域で歌った後で、低音域が出なくなること
No. 127 女性の胸声はどこまで使える?
No. 128 女性の胸声を発達させる第一歩
No. 129 音階の中で女声が弱い箇所
No. 130 フラジョレット
No. 131 テノールにおけるファルセットの役割
No. 132 女性のファルセットはありますか?
No. 133 ヴォーチェ・フィンタ
No. 134 ファルセットと呼吸
No. 135 さらにファルセットについて
No. 136 グリッサンド(高音域のポルタメント)
No. 137 メッザ・ヴォーチェ
No. 138 ベルティング
No. 139 声区を分ける
No. 140 カウンターテナー唱法
No. 141 シュトローバス
No. 142 ヴォーカル・フライ
No. 143 バリトン・マルタン
No. 144 若いテノールと高音域
No. 145 テノールが第2パッサッジョで喉頭を上げ、喉を緊張させること
No. 146 バリトンが第1パッサッジョで喉頭を上げること
No. 147 若い男性に「かぶせる」ことを教え始める時期
No. 148 男声のパッサッジョでの母音修正
No. 149 若い男声の低音域を拡げる 236
No. 150 テノールが高音域で跳躍するときに挿入する/h/("ha")
No. 151 割れた男声
No. 152 高音で断続的に割れる男声

第8章 健全な歌唱
No. 153 歌うアスリート
No. 154 声量を増やすこと
No. 155 ひどい話し声
No. 156 肥満とアッポッジョ(支え)
No. 157 減量と歌声
No. 158 水の補給
No. 159 顔や首が赤くなる
No. 160 声の休ませ方
No. 161 「抜いて」歌うこと
No. 162 男性の第2パッサッジョで痰がからまる
No. 163 うがい
No. 164 鼻に水を入れること
No. 165 吸入
No. 166 紅茶、蜂蜜、レモン
No. 167 声楽の技術と声の寿命

第9章 指導における諸問題
No. 168 良い音のイメージを確立すること、変えること
No. 169 声の技術体系は総合的なもの
No. 170 国による音の好み
No. 171 アメリカの音
No. 172 作品の様式と歌唱技術
No. 173 指示に従わない生徒
No. 174 歌い手のための最良の音楽トレーニング
No. 175 初心者のためのレパートリー
No. 176 「音楽的」とは
No. 177 音の後半
No. 178 指導法に関する意見交換
No. 179 どんな教育が正しいのか
No. 180 歌唱器官を育てること
No. 181 教えることから学ぶ
No. 182 若い生徒を教えること
No. 183 すべての人に使える技術
No. 184 演奏におけるさまざまな歌唱技術
No. 185 技術練習が完了したと考える生徒
No. 186 技術練習と作品を結びつけること
No. 187 女声と男声を真似すること
No. 188 イタリア語らしく発音するには
No. 189 ソプラノとメゾソプラノに対する指示
No. 190 新しい声楽教師を見つけるには
No. 191 黒人歌手に特有な音
No. 192 歌い手が知っておくべきこと

第10章 演奏に関連して
No. 193 感情を表現するために
No. 194 外から聴くことと内から聴くこと
No. 195 不正確な音高
No. 196 下行するフレーズで、最後の音の音程が下がること
No. 197 オペラとマイク
No. 198 リハーサル室とホールの音響の違い
No. 199 声量について
No. 200 メッサ・ディ・ヴォーチェ
No. 201 声を出す直前のチューニング
No. 202 オラトリオとオペラ
No. 203 演奏時の服装
No. 204 本番当日に何を食べるか
No. 205 合唱とソリスト
No. 206 テノールが合唱でファルセットを使うこと
No. 207 イギリスの少年合唱の伝統
No. 208 歌唱における身振りと筋肉の運動感覚
No. 209 適切なウォーミングアップの長さ
No. 210 無我の境地で歌う
No. 211 ブロードウェイ・サウンド
No. 212 歌うということは

用語集
付録Ⅰ 音名の表記について
付録Ⅱ 母音・半母音・フランス語の鼻母音のIPA記号
付録Ⅲ 子音のIPA記号
付録Ⅳ 若い歌い手や初心者向けの曲
参考文献表

訳者あとがき
索引