2010.08.01
『歌唱・合唱指導のヒント』著者・富澤 裕氏による「声のサンプル」を配信中!
『歌唱・合唱指導のヒント』(富澤 裕著)の中で紹介している発声練習「おっさんとフランス人のびっくり声」「イー星人・オー星人」「魔女の笑い」などの音声をここからお聞きいただけます。
指導用にすぐに使うことができます。
声のサンプル
「発声」というと、難しいと思われがちです。
舌根、鼻腔(びこう)、軟口蓋といった用語の難しさと、体内の感覚は外からわからないためでしょうか。
しかし「発声とは発音のことだ」と考えてみると、難しさは半減します。
ここでは幾つか、私が指導のときに用いている声のサンプルをお聞かせします。
日本語の特徴として“母音と子音が一体化している”ということが挙げられます。
会話に用いる母音は平板で、子音と一体化しているために「っお、っん、っが、っく」のように声門で空気をはじく音が入ります。
これに対して歌唱の声は「おー、んー、がー、くー」と延ばすことのできる音、つまり母音がはっきりと発音されます。
続けて発音してみます。
「っお、っん、っが、っく」「おー、んー、がー、くー」
歌ってみます。
♪「っお、っん、っが、っく」「おー、んー、がー、くー」
子どもの声の高さで……。
♪「っお、っん、っが、っく」「おー、んー、がー、くー」
今のように見本をやってみせ、まねさせるのが一番でしょう。
自分が二通りの声を出せることを実感させるための
「おっさんとフランス人のびっくり声」という方法があります。
まず「おっさんのびっくり声」 ♪ っお!
続いて「フランス人」 ♪ ぅお~!
続けてやってみます。 ♪ っお! ぅお~!
フランス人の音域が1オクターブ上がっていますね。
これが会話音域と歌唱音域の違い、会話音域の発音のままでは高い音は出せないのです。
頭声的な高音域を出すための練習に「イー星人・オー星人」というものがあります。
歌がとてもうまいイー星人。彼らの言葉はイーだけです。
イー星人語で「こんにちは」は ♪イッイーー
「ありがとう」は ♪イーイーー
イー星の右隣にサルが住む星があってそこのサル人は、
下の歯を見せるようにあごを突き出して ♪ぃいー と喋ります。
イー星人とサル人の会話 ♪イー?ぃいー! ぃいー?イー!
鳩尾を軽く押しながらイー星人の声を出してみると声に連動して動いていることが感じられるでしょう。
横隔膜の動きです。
イー星の左隣にオー星があり、そこにはオー星人が住んでいます。
オー星人の「こんにちは」 ♪オーオーー
イー星人とオー星人の会話 ♪イー?オー! オオーー? イッイーー!
自分の意志で二つの声を使い分けることができるようになれば、発声を意識することができるようになります。
魔女の笑い、という方法も声の使い分けを身につけるものです。
魔女 ♪イ~ッヒッヒッヒッヒッ
隣の婆さん ♪いっひっひ
先生がやってみせる見本を子どもは見事に真似します。
すてきな歌声を響かせてください。