君も星だよ ――合唱曲《COSMOS》に込めたメッセージ

ミマス
1971年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。音楽ユニット『アクアマリン』のキーボード、ギター、作詞・作曲担当。代表曲『COSMOS』『地球星歌』などは富澤裕氏により合唱曲に編曲され、全国の学校や合唱団で歌われている。小学生の頃から天文や宇宙に親しみ、旅好きで多くの国を旅した経験もあるため、星や宇宙、自然や旅などをテーマにした作品が多い。大学・大学院の専攻は自然地理学。音楽は高校生のときに独学で始める。近年はアクアマリンでのライブ活動のほか、小・中学校に招かれての授業や講演も多い。
公式サイトは、http://aqumari.com/

ミマス

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君も星だよ――合唱曲《COSMOS》にこめたメッセージ
※連載の内容はごく一部です。
   
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第3回
《地球星歌〜笑顔のために〜》

《地球星歌〜笑顔のために〜》歌詞

この青空はきっと続いてる
遠い街で誰かが 見上げる星空に
あなたの夢はきっと続いてる
遠い国の野原で 輝く虹に

*あなたの毎日が 世界を創り
 愛する想いが 地球へと広がる
 私は祈る 明日のために
 まだ見ぬ あなたの笑顔のために*

あなたがひとり 見上げる月を
遠い海のクジラが 見つめ返している
もしも夜空に 鏡があれば
地球のみんなの 顔が見えるだろう

*repeat*

この小さな手でできること
見えない糸をたどって 全てを感じること

そう 誰にでも愛する人がいる
誰の心にも 大切な場所がある
さあ その気持ちをむげんに広げて
この星をぜんぶ ふるさとと言おう

 あなたの毎日が 世界を創り
 愛する想いが 地球へと広がる
 私は祈る 平和のために
 まだ見ぬ あなたの笑顔のために
 いつの日か出会う その日のために


世界一周新婚旅行!

 《COSMOS》と並んで、多くの学校や合唱団で歌っていただいているのが《地球星歌》という曲。こちらは2008年に作ったものです。

 この曲にはとても深い思い入れがあります。なぜならこの歌は、「世界一周旅行」という、一生に一度の冒険の旅をした体験をもとに作ったものだからです。

 その旅は新婚旅行でした。長年いっしょに音楽活動をしてきたSachikoさんと2006年12月に結婚式を挙げ、翌年1月から旅に出たのです。期間は5ヶ月と1週間。エクアドルからスタートして、南米やアフリカ、ヨーロッパを巡りました。
 二人とも旅好きで、行ってみたい国がたくさんありました。ミュージシャンは自営業ですから、だいぶ前から計画的に準備すれば半年の休みをとることは可能です。思い切ってこの機会に、「これまで見た夢をぜんぶ叶える旅」に出ることにしたのです。

 その旅の素晴らしさは、一言ではとても語ることができません。どの国の風景も、きわめて感動的でした。あえていくつか挙げるなら、ずっと憧れていたパタゴニア地方(南米大陸の最南端)は本当に良かったです。巨大な氷河や険しいアンデス山脈。そこで見上げたものすごい満天の星空。圧倒的な大自然に心を打たれました。

 
『天を映す鏡』というキャッチフレーズで有名なボリビアのウユニ塩湖。
アンデス山脈の標高3600mの世界に、このような信じがたい風景が現れます。

 アルゼンチンとブラジルの国境にあるイグアスの滝。そしてアフリカのビクトリア滝。ともに世界三大瀑布に数えられる巨大な滝です。そのスケールの大きさは、それまでの自分が持っていたちっぽけな常識を、気持ちよいくらいに粉々に吹き飛ばしてくれました。ああ、世界はなんて大きいのだろう。なんて広いのだろう。なんて美しいのだろう。やっぱりこの旅に出て良かった。本当の世界を、僕はいま見ているんだ……。
 異国の空の下で、毎日そんな想いに浸っていました。

 いわゆるバックパッカーの旅は、本当に楽しかったです。
 バスで新しい町に着いたら、何よりもまず宿探し。泊まる宿が決まったら、その町に何日滞在するかを決めて、次の町へ行くバスのキップを買います。延々とその繰り返し。慣れてしまえば、そのプロセス自体を楽しめるようになってきます。
 「南米やアフリカを自力で旅するなんて、自分たちにできるのか……」
 出発前、胃が痛くなるほど不安だったのがウソのようです。またいつか、あんな旅をしたいです。 

南アフリカ共和国のケープタウン。
郊外にそびえるテーブルマウンテンから大西洋を見下ろします。

地球をシェアする人たちとの出会い

 印象的だったのは、やはり人との出会いです。
 どの国のどの町へ行っても、僕たちに対して友人や家族のように接してくれる温かい人たちがいました。ずいぶんと、おおぜいの人たちに助けられました。そうした人たちに、言葉が分からないためにじゅうぶんなお礼も言えずに別れてしまいました。そのもどかしさ、後悔は、いまもずっと心に深く残っています。

 旅に出て学ぶ重要なことのひとつは、しょせん自分など他人の助けを借りなければ何もできないのだということです。いやがおうにも、そのことを思い知らされます。人間は人間との関わり合いの中でしか生きてゆくことはできません。人に感謝し、自分も人のために何かをしなければならない。そういう意識を、より強く持つようになります。もし君が自信家で、自分は誰にも頼らず生きてゆけると思っているなら、異国を何ヶ月か自力で旅してみることをオススメします。

 世界じゅうの国々から来ている旅人たちとの出会いも、素晴らしいものでした。同志のようなものですから、お互いに惜しみなく情報交換をし、助け合い、お酒を飲みながらクダラナイ話でゲラゲラ笑いあったものです。

 旅を終えて何年たっても、その国、その町の名を聞くたびに思い出す笑顔がたくさんあります。

 チリの港町の市場のオジサンは、いまも元気に魚を売っているんだろうな。ケープタウンのバスの運転手さんは、今日も市内観光のルートを回ってるんだろう。同じジョークで観光客を笑わせてるかな。スロベニア人のカメラ好きの青年は、いまもどこかを旅して夢中で写真を撮っているにちがいない。マドリードの安宿のお母さんは今ごろ、僕のように貴重品をぜんぶ盗まれた旅行者を慰めているかもしれないな…。

 旅先で出会った親切な人たち。地球をシェアする素晴らしい人々。彼らはみんな、今も僕の胸の中に住んでいます。毎日それを実感します。そして思います。みんな今日もどこかで、前向きにやっているのだろう。彼らに恥じないように、僕もがんばって毎日を生きよう、と。

 旅から帰ってきて、記念に一曲作りたいと思いました。出会った人たちへの感謝と、これから出会う人たちへの想い。そして、一生出会うことはなくても、同じ地球を分け合う全ての人たちへのメッセージ。

 ある日、自宅の部屋の窓から青空を見上げつつ、キーボードに向かいました。想いがどんどん溢れてきて、この曲は30分くらいでできてしまったのです。僕としては記録的な速さ。きっと、みんなの後押しのおかげでしょう。  タイトルは何がいいかな……。「地球星歌」。大それたタイトルだけど、一生に一度の記念だ!
 この歌はそんなふうにできました。

スペインのタリファ岬にて。地図で僕が指さしている場所です。
看板には3ヶ国語で、『あなたがいる場所はヨーロッパ最南端の町です』と書かれています。
対岸にはアフリカ大陸が見えます。

ご紹介した本
富澤裕セレクション ●COSMOS ミマス作品集

富澤裕セレクション COSMOS ミマス作品集
ミマス 詞/ミマス&Sachiko 作曲/富澤裕 編曲

「COSMOS」のヒットで知られるようになったミマス(アクアマリン)の作品集。代表曲「COSMOS」の他、新編曲の「地球星歌〜笑顔のために〜」「明日の空へ」など全6曲を小学校・中学校で歌いやすいようにアレンジ。授業・集会・行事・音楽会などの選曲に最適。 [難易度]初級 [対象]小学生・中学生

地球星歌〜笑顔のために〜

地球星歌〜笑顔のために〜 全曲収録CD付き楽譜[解説付]
音楽之友社 編

中学生に贈るオリジナルクラス合唱曲集。音楽授業の副教材として、あるいは校内合唱コンクール(校内合唱祭)、行事の選曲に最適。標題曲の「地球星歌〜笑顔のために〜」は、ヒット曲「COSMOS」の作者であるミマス作品の合唱版。
[難易度]初級〜中級 [対象]中学生

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