お知らせ

2010.01.01

いまも人々を魅了する天才ピアニスト、グレン・グールド

 10月下旬から公開される映画「グレン・グールド~天才ピアニストの愛と孤独」(2009年/カナダ/108分/配給:UP LINK)をきっかけに、グレン・グールドがちょっとしたブームになっている。映画の字幕は音楽之社刊ペイザント著『グレン・グールド、音楽、精神』の訳者で、青山学院大学教授の宮澤淳一氏だ。
同書の原書の初版は1978年、当時グールドに関する初めての学術的研究としても注目されたが、以後30年以上もロングセラーを続けているのは、それだけではないワケがある。本書は、生前のグールド自身が読んで、その価値を認めたものだからだ。また、現在日本のグールド研究の第一人者・宮澤淳一氏のご尽力で、ディスコグラフィーほか公演記録などを日本語版独自の補遺として収められている。グールド・ファンなのに、まだ読んでいない方、グールド自身も読んだのだなぁ、と想いを馳せつつ『グレン・グールド、音楽、精神』を秋の読書に加えてみてください。
調律の神様と世界的に尊敬されているフランツ・モアの『増補版 ピアノの巨匠たちとともに』(中村菊子訳)にも、グレン・グールドの章が入っています。スタインウェイ愛用者のグールドと仕事をした技術者モア氏の、こちらも驚くべきグールドの世界の一端が記されていて、興味非常に深いものです。
 2012年に没後30年、いまも人々を魅了する天才ピアニスト、グレン・グールド、グールド自身も認めた本をこの機会に!

【関連書籍のご案内】

グレン・グールド、音楽、精神
●グレン・グールド、音楽、精神
ペイザント 著/宮澤淳一 訳

81年に弊社より刊行され、ロングセラーとして好評を博してきた『グレン・グールド なぜコンサートを開かないか』(現在絶版)の新訳版。原書初版の刊行は78年、当時グールドに関する初めての学術的研究書としても注目された。哲学・美学・心理学・身体論を駆使してグールドの言動を学際的に整理した本書は、生前のグールドもその価値を認めたばかりか、以後30年近くを経た今なおグールド研究の最良の基本書として版を重ねている。グールドはこの書の刊行の4年後に没するが、著者との最期の電話でも「あなたの本が私を変えた」と語っていたという。新訳刊行にあたっては、現在日本のグールド研究の第一人者といって過言ではない訳者により、①旧訳版より精度の高い訳を目指し②旧訳版ではほぼ割愛されていた注をより充実させ③増補分を多く加えた。③の補遺については、原書にありながら旧訳版で割愛した部分(補遺A)に加え、初版刊行後に、本書について著者が記した文章や、公演記録などを日本語版独自の補遺Bとして収めた。